フランス地方菓子紀行(1)東部編

1996年8月26日(月)<リクウィール〜コルマール〜ブザンソン〜ディジョン>

バスでコルマールColmarに向かう。途中、リクウィールRiquewihrという小さなワインの村に立ち寄る。入口にはアーチ型の門があり、そこをくぐるといきなり中世の街並み。1本しかないメインストリートには観光客がそぞろ歩き。ゆるやかな坂道の両側にはワインやワイングラス、食料品を売る店が並んでいる。小道には洒落た看板のレストラン。花を飾った時計台が目立っている。その後ぶどう畑を通って、コルマールへ。コルマールはアルザス地方でも珍しく戦火にほとんどあっていない。ストラスブールの南、ライン川の上流にある、古い街並みを残す静かな町。アルザス・ワインの生産地としても有名。アルザス・ワインは畑の名ではなく、ぶどうの品種によってワインに名前がつけられている。

まずはウンターリンデン美術館(Musee d'Unterlinden:25FF)を見学。もと修道院だった建物が改造されており、蔦のからまる回廊が通路になっている。ドイツ人のグリューネヴァルトによって描かれた“イーゼンハイム祭壇画”は必見。十字架にかけられたキリストの表情は苦痛にゆがみ、体は青紫の斑点が浮き出て、反り返ったまま硬直している。悲惨の一言。ところが裏側には、傷の癒えたキリストがいる。手に打たれた釘のあとから、光が発している。復活の雰囲気が生々しく伝わってくる。他にコルマール生まれのマルティン・ショーンガウアーの絵や銅版画が展示されている。

外に出て、運河に沿ったプティット・ヴニーズ(La Petite Venise)と呼ばれる区域へ。アルザス特有の木枠造りの建物が建ち並ぶが、ストラスブールのプティット・フランスにそっくり。なんでこちらはベニスなのだろう。ここの名物はタルト・フランベTarte Flambee。早目のランチタイムを、外でお姉さんがこれを焼いているお店でとる。タルト・フランベはビザ生地を薄く伸ばして、フロマージュ・ブランと生クリームを塗って、ハムや玉ねぎをのせて焼いたもの。まわりがかりかりに焦げて、あっさりしたピザのよう。2人で1枚(40FF)を分け合う。飲み物はビールで決まり。でも、オープンテラスはいいのだが、ハチが寄ってきて大変だった。

腹ごしらえをして、フランシュ・コンテ地方の大学都市ブザンソンBesanconへ。着いてすぐ解散し、各自でお菓子屋を探す。1本道なのであちこちで仲間に出会っては情報交換。ババ(12FF)、ルバーブのタルト(16.8FF)、ブリオッシュ(6FF)、ブレッツェル(3.5FF)を購入し、ファーストフードの「quickQ」でコーヒー(4.8FF)を買って、すぐにベンチで食べてしまう。ブザンソンはこれでおしまい。


夕刻、立ち寄ったという感じのブザンソンを後に、バスでブルゴーニュ地方のディジョンDijonに向かう。ディジョンは、フランス王家に対抗していたブルゴーニュ公国の首都として君臨した栄華の都。公国の歴代の王たちが集めた美術品や中世建築の遺産を多く残している。歴史に培われた街並みには気品や風格が漂う。フランス伝統料理のルーツとしても名高く、“美食の故郷”ともいわれている。到着が遅かったので、ホテルのレストランでディナー。前菜、肉か魚のメイン、デザート、コーヒーというコースに、ワインなしとワイン付の値段があり、ワイン付はワインのランクで2種類ある。値段からして当然グラスワインがつくのだと思い、数人がワイン付にしたが、なんと!実はボトルだったのだ。始め、どんどんついでくれるので、ラッキー!と思っていたが、何のことはない、頼んだのはこっち。余って仕方ない。最後には飲めや、歌えや(?)の宴会になってしまった。肉はビーフ、魚はサーモンの定番メニュー。レストラン(しかもホテルの)でのボトルの値段が500円位。これはカルチャーショックだ。205FF。